アオイスミレ(葵菫)
<学名:Viola hondoensis W.Becker et H.Boissieu>
スミレ科 スミレ属 多年草



アオイスミレ-01

                                                                      撮影日 2020.03.07: 群馬県
そろそろスミレの季節到来ですネ。
早咲きのアオイスミレが咲き出していました。

アオイスミレ-02

アオイスミレ-03
国外では中国や朝鮮からも記録はあるが、主な分布域は日本国内。
分布域は北海道から九州の宮崎県の道ばたや丘陵、低山の明るい森林内や
林縁部に多く、やや湿ったところを好んで生える。
西日本の太平洋側には少ないという。
アオイスミレ-04
全体に荒い毛の多いスミレ。立ち上がって葉をつける茎はないが蔓状の
匍匐茎を盛んに出し、多数が地表を覆うように増える。
アオイスミレ-05
葉柄は葉身より長く、葉身は丸っこい卵形、基部は心形で、先端は鈍く
尖るがあまりはっきりせず、場合によってはフキの葉のようにどこが
先端かわからないような形になる。
表面は葉脈に沿って少し窪み、まには波状の鋸歯がある。
アオイスミレ-06
葉柄には逆向きの毛が多数あるのも特徴である。葉は春には小さくて
長さ2-3cm、夏には大きくなって5cm以上になる。夏葉が大きくなるのは、
スミレ類では珍しくないが、アオイスミレではその差が著しい。
アオイスミレ-07
托葉は披針形でふちに細長い毛状の鋸歯がある。
アオイスミレ-08
早咲きのすみれで、花期は3〜4月、春早くに咲き、白に近い淡紫色~濃青紫色。
アオイスミレ-10
花弁は長さ1〜1.3cmで、側弁にすこし毛がある。
唇弁には紫条(紫の筋状の斑紋)がやや強く出る。
アオイスミレ-11
距は長さ3〜4.5mm、でこぼこして、後部が太い。
アオイスミレ-12
萼片は狭い長楕円形で毛があり付属体には切れ込みなどがなく丸く低い。
アオイスミレ-13
花柱の先はカギ形に曲がる。
アオイスミレ-14

アオイスミレ-15


花後は茎が匍匐して蔓状に伸びて葉をつけ、その葉腋に閉鎖花がつく。
さく果は直径約径5-6mmの球形で粗い毛が密生し、よく実る。果柄が曲がり
さく果は地面に転がっているように見える。
熟すと3裂するが、果皮片はほかのスミレのような舟形にならず、
種子をはじきださない。
種子は白っぽい色をしていて、ゼリー状の種枕(エライオソーム)が付いていて
アリに運ばれることで散布する。



名前の由来は”葵菫”で、葉の形がフタバアオイに似ることによる。

                      フタバアオイの葉

スクリーンショット (13)






別名をヒナブキといい、これは特に大きくなった時期にその葉が
フキに似ることから、小さな蕗、との名前である。


西洋のスミレで有名なニオイスミレに近縁なもので、
近縁種の多くはユーラシア大陸に分布し、

日本では他にエゾアオイスミレ <学名:Viola collina Besser>がある。
エゾアオイスミレは冬に地上部が完全に枯れる点ではっきりと異なり、
分布は日本では本州中部の高地から北海道、見られる場所は少ないが、
国外では東アジアに広く知られ、その分布はアオイスミレよりむしろ広い。
いがりまさし氏は、『おそらく日本の湿潤な気候に合わせて
特化したのがアオイスミレであろう 』と述べている。


               〔タチツボスミレとの葉の違い〕

アオイスミレ-09



近くにタチツボスミレの株がありました。
感じはやや似ていますがよく見れば葉だけでも識別が可能です。


左 : アオイスミレは丸みがあって脈の部分がややくぼんでいます。
右 : タチツボスミレは先端がやや尖り、表面はつるっとしています。